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彼女と二つのナイト

【過去のお話】



 

「ふぁ〜あ……あふ」

 寝惚けた頭を掻きながらラクトは朝食の準備をする。それはいつも通りの朝のはずだった。

「今日は……昨日買ったサンドウィッチがあったな」

 サンドウィッチに手を伸ばしたラクトは思いもしなかった感触に襲われ、その動きと思考を停止させる。





「もさっとしてて、温かくて……で、何かキュッキュ言ってる……?」

 手の先へと向かう視線、その先にいたのは……






「うわぁ何だ!?……ウサギ?…猫…?」

 小首を傾げる不思議な生き物だった。

 



・・・・・






「……ん、この子は新しい……ペット?」

 寝癖だらけの頭をしたフレアの問いかけにラクトは違うと言う様に首を振る。そんなラクトの足元ではロックが不思議な生き物を警戒しているのか唸り声をあげていた。

 フレアの足元にいる不思議な生き物はどうやらフレアが気に入ったようで足先にちょこんと座り、唸り声をあげるロックに怯えることもなく堂々としている。

「……ロック、嫉妬しちゃ……ダメ、だよ」

「そうだぞ、ロック。俺の相棒は……」






「もうすぐ……この子に、変わる?」

「ちが……っ!?」

 二人のやり取りを聞いていたロックは震えながら首を振る。まるで、嘘だ……と言いたそうに。

「ろ、ロック?」





「わ、わうーん!」

 悲しそうに一声鳴いたロックは家の窓を体当たりで割り、外へと飛び出していってしまった。

 


 

 ・・・・・

 

 




 とぼとぼと人通りの多い町の中を歩くロックは食欲を刺激する匂いに足を止めた。

「……わふ?」

 その匂いにつられるようにして、ロックはふらふらと歩いていく。匂いを辿っていくと、そこにあったのは開店の準備をしている喫茶店だった。





「あら、なに……君、おなか空いてるの?」

 喫茶店の前でお座りをしながら、店内を覗いていたロックに気付いたコックらしき女性が手を拭きながら声をかける。その声にロックは人の言葉が理解出来ているのか、一声鳴いて答えた。





「そっか、それなら何か食べていく?」

 茶色い髪をしたコックは優しそうな笑顔を浮かべると、ロックへそう問いかけた。

「わ、わうー……」

 その優しさが嬉しかったのか、ロックは瞳を潤ませながら何度も頷いた。

 





 

「ひゃー……すっごい食欲だねー……」

「わふ! わふ!」

 犬が食べても問題のないように調理された料理をロックは凄まじい勢いで食べていく。そんな姿を女性は幸せそうに見ていた。





「うちの子もご飯食べてる時、こんな感じだったなぁ……」

 声の質が変化したことに気付いたロックは食べることを中断し、女性の顔を見上げる。その顔は優しくも見えるが、それ以上に何か悲しそうにも見える。

「わう……?」

 ロックはそんな女性の足元へ近付くとお座りをしながら女性の顔を見上げ続けた。

「あはは、大丈夫大丈夫。君はおなか一杯ご飯を食べていきなさいって」

 女性はそっと立ち上がると、店の奥へと消えていった。





「わふ……」

 残されたロックは食べかけの料理を再び食べ始めたが、先ほどまでの勢いは何処にもなく、視線は完全に女性が消えていった場所へと注がれていた。

 


続く
author:ラクトキャスター, category:彼女と二つのナイト(頂き物), 00:00
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