みんなのブログポータル JUGEM 彼女と二つのナイト | 蒼の庭園
RSS | ATOM | SEARCH
彼女と二つのナイト

 人通りの多い町の中をラクトは走っていた。それは一晩待っていたのに戻ってこなかったロックを探すためである。





「くっそ、何処にもいない……!」

 額には汗が浮かび、その表情には焦りも見て取れる。

 

「夜になれば腹が減って帰ってくるかと思ってたのに……!」

 乱れた呼吸を整えるために足を止め、ラクトは膝に手を当て深呼吸を繰り返す。そんなラクトの額に瓶が押し当てられた。





「冷たっ!?」

 押し当てられた瓶を押しのけながらラクトは裏返った声をあげる。

「……ん。水、買って、きたよ」

「ふ、普通に渡して欲しかったな」

 二人分の水を持って立っているフレアへそう答え、ラクトは水を受け取った。

 




「んぐ……それで、例の不思議な生き物はどうなったんだ?」

 ベンチに座り水を飲み干したラクトは隣に立っているフレアへ問いかける。

「飼い主さん、見つかった……よ」

「あの不思議な生き物、何処からか脱走してきたのか……」






「あと…は、ロックだね」

「全く、あいつ何処まで行ったんだか……」

 流れる雲を見上げ溜息を吐く二人は気付いていなかった。近くで犬が倒れていると小さな騒ぎになっていたことに。





「おい、あの犬やばいんじゃないか……!?」

「ちょっと、誰か治癒魔法かけてあげなさいよ!」

 騒がしい声の中央でロックは震えながら立ち上がろうとしていた。

「回復薬くらい誰か使ってやれって!」





 自らを気遣う声など気にせず、ロックはその場に残されているであろう『男のにおい』を嗅ぎ始める。そして、ふらふらとした足取りで動き始めた。

 余裕の無いロックはすぐそばにあるラクトとフレアの匂いに気付かぬまま、二人から徐々に離れていった。


続く

author:ラクトキャスター, category:彼女と二つのナイト(頂き物), 00:00
comments(0), trackbacks(0), pookmark
スポンサーサイト
author:スポンサードリンク, category:-, 00:00
-, -, pookmark
Comment









Trackback
url: http://aonoteienn.jugem.jp/trackback/243